やまねこ登山録               ~人生詰んでる人が富士山頂上を目指すだけの話のその後~

仕事(ブラック)にもプライベート(独身ボッチ)にも負けず…登山素人ながら富士山に登り終え、その後の登山日記。まだ見ぬ絶景とネコを求めて、関西を中心にふらふらといろんな所へ行っています

北アルプス テン泊記 第6章 ~夢破れて山河あり~

以下、敗残兵が見た景色…

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 高標高のせいかビールの酔いが恐ろしい速さで回る…

昨日のジムビームはそうでも無かったのに…。

 

少しすると、涸沢の気温が急激に落ちてきた。

雲が谷の下から登ってきて、また景色は見えなくなる…

この時の雲海も結構な景色だったのですが

もう写真を撮る気力もなくテントで寝てました。

 

少しすると激しい頭痛を感じ、やむを得ずリンクルアイビーを飲む(頭痛は持病なのです

 

だが、寒気が収まらず、とうとうたまらずに、まだ夕方前だと言うのに寝袋に入る。

手足が氷のように冷たい…これ、あれちゃうのん。風邪ひいて熱が出る手前の症状…

なんだよ、今回の山行…最後までボロボロじゃねーか…

 あー、あかん。もう動くのも辛ー

 

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少し昼寝して目が覚めると、薬が効いたのか、頭痛は収まっている。

もそもそと、這い出し、暗い道を山小屋へ…

(後になって考えると、この時の症状…雲が上がってきてたって事は相当、気圧が下がってたって所で、寝不足で疲労で酒飲んで…って…かなり軽度な高山病だったのではないか?って思います。役満で高山病になりやすい事してたし…この日は3000m付近から、逆に高度を下げていたので、高山病になるなんて思いもしてなかったんですがね…そういうのあんまり関係なく、なるときは成るのが高山病らしい。ま、すぐ治ったし今から確認する術は無いのですが)

 

で、なぜ、山小屋へ行くのかというと…

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じゃーん。

山小屋めしー

少し値段はするんですが、予約をしておくと、山小屋で夕飯を食べる事も可能なんです。

まあ、山小屋なんで、内容は御覧の通りなんですが…(いや、美味かったすよ

久々の人間的な食事…おかわり自由なごはんと味噌汁。

何よりあったかいお茶と暖房の効いた室内で出来る食事

 

これは本当に天国でした。

 

外はすっかり極寒地獄でしたが、手足に体温は戻り、テントに戻ってからも、この日は快適な気分で眠れました。

ああ、テントが倒れるのを気にせず眠れるって素晴らしい。

 

この日は早めに就寝する事を選ぶ…

 

 

 

とは言ったものの…時間はまだまだ早い…

横になっていると、この日の事とか、思い出して、残念で情けなくて恥ずかしくて…なんか、涙が出てくる

山登りに失敗して涙するおっさん…なんて、滑稽な図式だ…

っていうか、なんて酷い…なんてひどい山行をやってしまったんだろう。俺…

 

 

ーーーよう、酷い顔してんじゃねえか…

 

あ、穂高の神様…全く出てきてくれないと思ったら、こんな時に

 

ーーー随分な目に会ったみたいだな

 

ええ…おかげ様でね。さんざんですよ

 

ーーーおかげ様?お前のせいだろう?

 

分かってますよ…

 

ーーー解ってねえだろ?まず、今回は台風が来たのに上高地に来たのがそもそもの間違いだ

 

何、分析始めてるんですか?

 

ーーー実質、不安だ不安だ言ってるだけで、結局天候任せの行き当たりばったり、何も対策しないで、涸沢でテントを立てちまった。

 

う……

 

ーーー嵐が来たら、結局何もできず…朝まで起きて無駄に体力使っただけ…

 

ーーーそのまま大人しくしとけばいいのに、疲労と睡眠不足をおして、山に登ってあわや救助隊出動レベルの大失態…

 

ーーー加えて、今の高山病?的な何か…

 

ーーー危険予測が不十分だ。リスクファクターの発見が遅く回避になんの策も無い。トラブルシューティングも中途半端…

 

なんで、意識高い系の単語で俺をディスるの?

 

ーーー普段の仕事っぷりと一緒だな。所詮お前にとって山なんてそんなものなんだよ…

 

 

 

ちくしょう……自分の妄想の中での会話なのに、まったく言い返せない、穂高の神様の俺批判…

 

ーーーまあ、山の怖さを知って初めて一人前だ。そういう意味で今回はいい経験できたんじゃねーか?

 

その手の慰めは、結構。

また、きっと俺は山には登る。

でも帰ったら、ちょっと、ぬるい山行を企画しようかな…

しばらくは山を楽しむ登山がしたいなあ

 

 

本当に今回はサンザンやった

 

ーーーやれやれ…

 

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夜が明ける…

恐ろしく寒い

嵐の間はまだ気温は高かったんだよな…

しかし、寒さを我慢してテントから出てくる。

今日は、朝一でテントを撤収して上高地まで戻らないといけない…

穂高のモルゲンロートなるものが、昨日は天気が悪くて見れなかったが

今日は見えるかもしれない。

そんな淡い期待を持って、朝飯を食ってからテントを少しずつ撤去し始める。

うわ…夜露が氷になってはテントの裏側に張り付いとる…

こら、帰ってから、メンテナンスが大変やな…

 

って感じでモルゲンロートを待ってたのですが…

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あれ?完全に明るくなっちゃったんだけど…モルゲンロートって朝焼けの事じゃないの?もう日の出の時刻もとっくに過ぎてるんですが?

ひょっとして、今日は、見れない日やったのか?

もう、どこまで、酷い山行なんだよ。今回…

 

 

しかし、その時----

 

山が

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ゆっくりと

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輝きだした…

 

こういう景色を見るといつも、思う。

写真じゃとてもこの感動を表現しきれない…

本当に悔しい…

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山の頂上が赤く…輝いてる…

四方を山に囲まれたこのカール。日の出時刻を過ぎても、日が差し込まないのだが、高く急峻な西側の穂高連邦には、東側の山の下から差す朝焼けの光がその頂上に、日が差し込むより先に当たる…地球規模の途方もない偶然が紡ぎだす、言ってしまえば奇跡の絶景…

 

なんて、壮大で幻想的で美しい…こんな景色が毎日繰り返されてるのか…ここは…

ホントに、なんて土地に二日もいたんだ…俺は

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ーーーお前はよく頑張ったよ…

 

穂高の神様…

 

ーーーまだまだ、穂高の真の魅力はお預けだが…今回の旅の褒美って事でよ…土産代わりに持ってけ、この景色をな

 

やべえ。自分の妄想で泣きそう…

 

ーーー一年前より良い顔になって戻って来たな。次も楽しみにしてるぜ。俺はいつまでもここで待ってる

 

神様ーーー!!!!

 

はい。妄想終了。

 

 

しかし、本当にこのモルゲンロートを見て、前二日の苦労が全て報われた…そんな気がしました。

 

つづく