やまねこ登山録~人生詰んでる人が富士山頂上を目指すだけの話のその後~

仕事(ブラック)にもプライベート(独身ボッチ)にも負けず…登山素人ながら富士山に登り終え、その後の登山日記。まだ見ぬ絶景とネコを求めて、関西を中心にふらふらといろんな所へ行っています

本編 富士登山記6  天の川の孤独

山小屋で午後23時……

気温がかなり落ちているのがわかる

寝る前にフリースを着ておいたからあまり寒くは無いが

 

少し頭痛を感じるが、まあ、もともと頭痛持ちなので……

(偏頭痛持ちも、高山病になりやすいらしいので、注意です)

うん。目が覚めると頭痛も収まった

 

 

もう、無理だ。さすがに寝れない

結局、寝たのは2時間弱

想像以上に緊張に弱いな。俺

広くて寝心地も良かったんだけどなあ……

まあ、それでも休憩は十分とれただろう

もしかしたら、もっと高い山頂に近い場所にある山小屋に泊まってたら

客が多く、こんなに場所が広く無くて、さらに眠れなかったかもしれない

人の多さからくる息苦しさと、偏頭痛をこじらせて高山病が発症していたかもしれない

出来るだけ、低めの標高の山小屋にすべし、とアドバイスをくれた

先輩に感謝だなこりゃ

 

結局23時半に、これ以上は眠れないと判断

15分くらいで出発準備完了、山小屋を出発する

初めての富士登山、人も親切で場所も広く寝袋付き。良い山小屋に泊まれたと、心から思う。いそいそと出て行ってしまったので、この場を借りてお礼を申し上げます。

申年富士登山記念の手ぬぐい、大事にします。

ご来光時間の計算がたつなら、次(もしあったら)も、ここがいいかも

 

 

外に出ると真っ暗、山小屋前には外国人等、結構人がたむろっていたいたが、

少し登山道に入ると、未だ早いからか、人は殆ど歩いていない。

そんな中いよいよ、山頂を目指して歩きだす

ヘッドランプの明かりをつけて道を進む

ヘッドライトの明かり、それだけ頼りに走り出した~

(あれは車か)

初めての夜行登山

道は最初の頃の大き目の砂利道みなっている、

(↑だからガレ場ね

岩場よりは歩きやすいが

昼の登山と比べて不安さがハンパ無い

この道で合ってるのか?と常に不安になりながら道を進む、

独りぼっちの夜の山道、

山小屋の明かりが届かなくなると世界に一人だけになったような気がする

ふと気になって、ヘッドランプを消し、夜空を見上げると……

 

天の川か…

思わず声に出ていた、

そりゃ、五合目の明かりも、まばらに歩いている人のヘッドランプの明かりもちらほら目に入る。パーフェクトと呼ぶには程遠いが……

(ここは、ボム爺さんに言われ洞窟内で明かりを消したら、洞窟中の飛行石の成分が光っていた、時のパズーの感じで(←例え長いよ))

 

神戸の町中では到底見る事が出来ない、満点の星空……

凄い…

天の川なんて、たしか4歳とか、そんな時に見たのが最後なんじゃないのか?

夜空に……まさにミルクの川を流したように見える、無数の光の塊、

 

この後、1時間少々でこの日の月が東の空から登ってきた。下弦の三日月(正式名称しらん)私は星を見るにはかなりいいタイミングで外に出ていたようだ

まさにうれしい誤算であった

 

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読みにくいが山頂まで2.5キロで50分くらいの看板

具体的な数字が出てきたのが初めてだったのでうれしくて取りました

私の携帯では夜の写真は撮れなかったので写真は少な目です。

 

 

本8合目を過ぎると道が岩場だらけになってくる、相変わらず、ジャリ道もある。暗い中では足が取られ、思うように進めない。登りの傾斜も急になってくる。確かに普通に人が多い時なら大渋滞になるわな。これは。それでも人は山頂を目指す。山頂に何があるってんだ?本当に

 

最後のチェックポイント9合目

ここには山小屋は無く、小さな祠(神社?)があるだけ

このあたりから、山道の脇に座り込んでいる人が多くなっている、

多分、そこからご来光を見るつもりだろう

人の多い山頂で見るよりはいいのかもね

しかしまだ2時前なんだが……

 

見上げればまだまだ、山頂を目指すヘッドランプの列がかなり高い所まで見える

時間はまだまだかかりそうだ

この天気のまま行けばきっと、ご来光は見れる、それも、かなりの上物が……

期待を胸に足が速くなるのだが……

 

 

ここに来て少し、吐き気を催す…

え?高山病、ここで来た?ヤバくないかこれ?

く、クウキ、ウスイヨーー!!

しかし、原因はすぐに解った、

 

空腹だ!

 

あの二日酔いとかで、次の日ごはんを食べれなくなった時、空腹状態だと逆に気持ち悪くなるあの感じ。医者ではないがこの感じはまず間違いない

こういう時は無理してでも何か胃に入れるのがコツ

何せ夕食を食べたのは16時だからな……

慌ててザックの中を探すと、カロリーメイトが出てくる

迷わずに口に、もっさもっさ突っ込む

 

登山者あるある

カロリーメイトは口の中の水分を全部持っていかれるから携帯食には適さない

持ってくるか、少々迷った

しかし、今は迷っている暇はない

正直寒いし、疲れてるし、おいしく食べれる環境でも無かったが

一袋分を水でなんとか、流し込む

 

 

……よかった、胃が落ち着いてきた

釜飯食ったら、朝に食うもの無くなる

カロリーメイトを余分に持ってきといてよかった

 

しかし、この一件を境にメンタルが一気に崩れる

 

 

再び、山頂への道

時間は2時少し前

寒い、眠い、疲れた、カロリーメイト一袋じゃ、多分すぐまた空腹がくる

いわゆる極限状態

のび太に言わせれば、

「温かい布団にくるまって寝る。こんな幸せが他にあるものか!」状態

本当に何やってんだ?俺?

この年になって、仕事でも、夢でもない趣味にこんなに気力と体力使って…

まさに誰得だよ

 

 

まずい……景色や、初めて見るもので頑張って上げてたテンションが切れかけてる

ひたすら富士山頂を目指すと自分に言い聞かせて、ここ数か月頑張ってきた一種の催眠術的な何かが解けそうだ

逃げ出したい……しかし、ここまで来たら、それもかなわない

誰も助けてはくれない

 

山頂を前に道が一段と険しくなる

 

進むことも戻る事もリスクだらけ

止まる事もできない

一緒に歩く誰かもいない

頑張っても待っててくれる誰かもいない、

何か、よさげな雰囲気に流されて

勝手に突っ込んで、身動き取れなくなって

逃げ出したくなって…

後悔だらけなのに失敗だらけなのに

全然前に進まない

「今更」って文字が周囲を回っている

じゃあ、何でそこまでして頂上を……?

 

ああ、これって俺の人生の…

 

 

 

 

富士山から帰ったら、また日常が待っている

無意識の中にそれを一番怖がって、逃げ出したかったのかもしれない

今回ダメなら、また次に目指せるって

でも、それは、今、一番選んではいけない選択肢

そんな気がする

それだけを胸に、俺は最後の一歩を踏み出した

 

 

つづく

 

 

 

 

 

余談ではあるが、(ここ、読み飛ばし可)

天の川ってのは銀河系が見えているから、ああいう風に見えるらしい

地球は銀河系の中にあるから、普通に考えると、その理屈なら、夜空の四方八方どこをみても天の川でうめつくされてないとおかしい(もはや川じゃないけど)

第一に銀河系は平べったい形状をしているという事、

そして、地球は、銀河系に対して恐ろしく小さく、太陽系の隣の星までですら、これまた気の遠くなるくらい恐ろしく遠い、

平たいドーナツの穴の中央にミクロレベルの点で地球が存在していて、そのドーナツの内側面が見えてるのが天の川……と、俺はそんな感じで理解している

但しそのドーナツはまたまた、まさに天文学的に恐ろしく広く広大な形状なんだけど…考えれば考える程、地球のちっささとか…宇宙のでかさとかを感じてしまう

 

まあ、どうでもいいんですけどね

 

遠目で見ると、星が密集しているようにしか見えない銀河系の中にあって

地球ってなんて、ちっぽけで孤独なんだろうって話

 

 

いやー今回中二病絶好調の文章でしたね。

次もきっと……